“Tyler” 2020 / アクリル・ガッシュ・キャンバスボード / 18cm x 14cm
『WAVES』(2019)より
映画のシーンやPVでよく見かける、
登場人物が直接カメラに目線を向けている場面。
それは映像と観客の間にたつ空間を
縮める手法だと思います。
好きな人と目があった時ドキッとするように、
好きな役者やアーティストの目線が観客に向けられると
映像と分かってても思わずドキッとしてしまう。
鏡に映る自分を見ている主人公の目線がこちらに向けられると、
映像と分かっててもその主人公になった気分になり、
自分じゃない自分を楽しめることによりワクワクする。
キャラクターの目線がこちらに向けられる事により
観客は映像に映し出される世界観をより直感的に感じられるので、
その映像の世界により没入できる。
見たいものがこちらに目線を向けてくれると
ドキッとするしワクワクする。
でも、なんの予知もなく目線を向けられた時、
もしくは見たくないものから目線が向けられた時は
どうなのでしょうか。
“Alex” 2020 / アクリル・ガッシュ・キャンバスボード / 18cm x 14cm
『時計仕掛けのオレンジ』(1971)より
「話すときはちゃんと相手の目を見なさい」とよく言いますが、
実際に人と向かい合って話すときに相手の目を見るのは難しいです。
恥ずかしいし、怖いし、相手が何を考えてるのかを想像するのも難しい。
目をそらして話す方がよっぽど簡単です。
このように、
見たいものは見る、
見たくないものは見るのをやめる、
という行動を取るのは簡単です。
でも、難しいこと、見たくないものに向き合うことで
大切な何かに気付けることもあるのでは。
映像の中で目線がこちらに向けられた時、
いくら不快でもそれは映像の一部とされるので、
こちらも目線をそらさず見続けれられる。
“Glasha” 2020 / アクリル・ガッシュ・キャンバスボード / 18cm x 14cm
『炎628』(1985)より
映像には普段目をそらす場面も
見続けてもらう力を持っている。
こちらに向けられた目線の先には
感情移入や世界観への没入を通り越し、
普段の生活ではあえて避けていた何かと
改めて向き合わせてくれる「思想」が
潜んでいるのではないでしょうか。
“Flyora” 2020 / アクリル・ガッシュ・キャンバスボード / 18cm x 14cm
『炎628』(1985)より
好きな映画のワンシーンを好きなように描きながら
映像のことについて考える、気まぐれなお絵かきメモです。
みなさんの好きな映画・好きなテーマなどで
リクエストのある方、是非ご連絡ください!