どこでもごはん 第2回

Text by 渡辺 伸一朗

ひとり酒の悦び
 
 
 
とても寒いですね。冷えますね。
どんなに着込んでも
どんなに温かい部屋にいても、、、
カラダは温まっても
心までは温まりません。
それが師走。
なんちゃって。
 
こんな季節、ひとり酒も良いですよ。
ひとり酒だと大量に飲まなくても
気持ち良くなれます。
カラダが芯から温まります。
熱燗大好きですが、ビールを飲んだって
何故か温まるんです。
きっと、ゆったりと自分のペースで
飲むからなんでしょうね。
 
みんなでワイワイ飲むのも
もちろん楽しいですが、
ひとり酒だと同じ店でも
違った景色が見えてきます。
普段は注意しては見ない
他のお客さんの表情や、
ご主人が仕事する時の細かなクセ、
すべての光景が
素晴らしい酒肴です。
 
あっ、それと、
日頃からメニューを読むのが好きなので、
1人の時にはいつも以上に熟読します。
はたから見ると怖いくらいにガン見です。
スマホでFBなんかを見ている場合じゃありません。
 
もうひとつひとり酒で特筆すべきなのは、
おつまみの味わいなんです。
美味しいんです。
みんなで飲む時には
勢いで食べてしまうけど、
1人の時はその店の名物を
じっくりと、チビチビと。
とてもとても愛おしく感じます。
 
渋谷「富士屋本店」のスパゲッティサラダ。
 
赤羽「まるます屋」のウナギの肝串。
 
渋谷「森本」のウナギの太巻き。
 
下北沢「晩杯屋」のレバーカツ。
 
下北沢「椿」のレバーオイル漬け。
 
新代田「えるえふる」の冷奴。
 
思い出しながらうっとりしてきました。
誘ってもらえればもちろんご案内します。
そして一緒に行って様子がわかったら、
ぜひぜひ「ひとり酒」でも味わってみて下さいね!
 
ゆっくりと、ひとりで。
少しの間だけ、
時間を止めて楽しみましょう。