momo memo 11
西洋東洋ying-yang
2023年、あけましておめでとうございます!
今回は李の中で昨年最も印象に残った映画、
『アフター・ヤン』(’22)のお話をしようと思います。
時は近未来。
中国系養子である娘ミカに
母国の文化や歴史を正しく教えられるようにと
多国籍家族の一員として購入された中古の「お兄ちゃん」ロボ、ヤン。
故障したヤンを直すべく解剖を進めると
彼の中にメモリーバンクがあったことが判明する。
その記憶の中にはヤンの家族への想いと共に、ある秘密が潜んでいた…
白人の旦那ジェイク、黒人の妻カイラ、
中国人の娘ミカ、そして外見はまるで人間のロボット、ヤン。
この多様性豊かな家族の間で優しく静かに繰り広げられるストーリーを追いかけながら、
高校時代に受けた授業をふと思い出した。
それは
西洋文化=”I”(私) / 個人主義文化で、
東洋文化=”We”(私たち) / 集団主義文化
という内容だ。
ヤンの平凡且つ美しい記憶から
この西洋東洋、両方からの視点で
周りをどう幸せにしていくべきかという
とても優しく、暖かいメッセージが感じられた。
西洋文化・東洋文化、どちらにも強みもあれば弱点もある。
西洋文化/”I”は自分の主張をはっきりさせられるが、
ロジカルな発想しか出来なくなり、自分が作り出したルールに縛られる可能性がある。
東洋文化/”We”は違いあれど受け入れる力はあるが、
その分自分の行動に矛盾が出たり、意志が薄れる可能性がある。
世の中の様々な問題が改善されない理由としては
西洋東洋社会が極端に弱点ばかりへと傾いて
バランスが崩れた状態で物事を解決しようとするからだと思う。
人間の行動を分析して進化していくAIのヤンは
社会を俯瞰して見ることができ、
意見もその分とてもニュートラルのはず。
そして「お兄ちゃん」としてプログラムされていた彼は
自分より弱く未熟でピュアな人間を支えるという主命のもと創られた
特殊で貴重な存在だ。
そんなヤンの記憶を見ていたら、彼は
西洋文化=みんなを幸せにするため、どう自分を磨くべきか
東洋文化=自分が持つ知識と経験を活かして、どうみんなを幸せにできるか
という風に捉えているように感じた。
西洋東洋の思想には陰陽(ying-yang)があり、
ヤンは現代社会の「陽」のメタファーなのだと思う。
彼の思想こそが、これからの理想的で多様性豊かな社会を
作り上げていくために必要なヒントなのではないだろうか。
昨年よりフリーランスとして活動し始めたので
momo memoは今回で最後となります。
私もヤンのように、
小さなレベルでもどのように周りを楽しく幸せにできるか
フリーランスという形で色々チャレンジしていこうと思います。
これからも何卒よろしくお願いいたします!
李 桃
hello@momolee.work
2023/01/13